50代から始める終活｜遺言書を残すという“家族への思いやり”

「遺言書って、まだ早いかな？」
そんなふうに思う方も多いかもしれません。でも、元気なうちに“自分の想いを形にする”ことは、
家族が安心して未来に進むための何よりのプレゼントになります。

今回は、終活ガイドの視点から、50代から考えておきたい「遺言書の大切さ」と「始め方」について、
わかりやすく整理してお伝えします。

なぜ遺言書が必要なの？

家族の“困った”を防ぐため

遺言書がない場合、財産を分けるには“相続人全員の話し合い（遺産分割協議）”が必要です。
兄弟姉妹が多い場合や、疎遠になっている家族がいる場合は、話がまとまらずに時間がかかることもあります。

遺言書があれば、「誰に、何を、どんな想いで託したいか」を明確に残せるので、
家族が迷わずに手続きを進められます。

トラブルを未然に防ぐ

特に、再婚している場合や子どもがいないご夫婦の場合、相続の話し合いでトラブルになるケースが増えています。
“家族の気持ちを守るため”にこそ、遺言書は大切です。

遺言書の種類と特徴

自筆証書遺言

すべて自分の手で書く遺言書です。
費用をかけずに作れる一方、形式の誤り（押印忘れ、日付漏れなど）で無効になることも。
最近では、法務局で保管できる「自筆証書遺言書保管制度」が始まり、紛失や改ざんのリスクが減りました。

公正証書遺言

公証人が作成し、原本が公証役場に保管される遺言書です。
正式な手続きのため安心感が高く、
家庭裁判所の“検認”も不要でスムーズに相続が進められます。
費用は内容により数万円程度かかりますが、確実さを重視したい方におすすめです。

遺言書を作る前に考えておきたいこと

自分の財産を整理する

預貯金、不動産、保険、株式など、
まずは自分の財産を把握することから始めましょう。
エンディングノートを使って書き出してみると、全体が見えやすくなります。

想いを言葉にする

「なぜ、その人に残したいのか」「どんな気持ちを伝えたいのか」
金額やモノだけでなく、感謝や願いを添えることで、心のこもった遺言書になります。

家族と少しずつ話しておく

いきなり「遺言書を作る」と言うと驚かれることもあります。
「最近、終活について少し考えててね」と自然に話題に出すことで、気持ちの準備ができます。

遺留分ってなに？

遺言書で「全財産を特定の人に渡す」と書いても、
他の相続人には、遺留分（最低限の取り分）が法律で保証されています。

例えば、配偶者や子どもにはそれぞれ一定の割合があり、
それを侵害すると「遺留分侵害額請求」ができる仕組みです。

つまり、遺言書は“自由に書ける”けれど“法律上のルールがある”ということ。
専門家に一度確認してもらうと安心です。

遺言書が見つかったら、まず何をすべき？

自筆証書遺言の場合、勝手に開けてはいけません。
家庭裁判所で検認という制度があり、これを行う必要があります。

自筆証書遺言の保管制度とは？

2020年から始まった制度で、
自筆証書遺言を法務局で正式に保管してもらえる仕組みです。

これにより、

• 紛失や改ざんの心配がない
• 家庭裁判所の検認手続きが不要
• 登録情報を家族が確認できる

というメリットがあります。

費用は1通につき3,900円。
予約して管轄の法務局へ出向くことで手続きが可能です。

まとめ｜遺言書は“死後のため”ではなく“今を大切に生きるため”のもの

遺言書を作ることは、決して「縁起でもない」ことではありません。
むしろ、「自分の生き方をどう締めくくるか」を考える前向きな行動です。

今を丁寧に生きながら、
“もしもの時も家族が困らないように”と備えることは、
何よりも深い愛情の形です。

焦らず、できることから少しずつ始めていきましょう。