自筆証書遺言の保管制度とは？安心して遺言を残すための新しい仕組み

遺言を書いても、「どこに保管すればいいの？」「なくしたらどうしよう…」と不安を感じたことはありませんか？
そんな声に応える形で、2020年にスタートしたのが「自筆証書遺言書保管制度」です。
法務局が遺言書を安全に預かってくれることで、紛失や改ざんの心配がなくなり、家族も安心して手続きを進めることができます。

今回はこの保管制度の内容と利用の流れを、実際に母の終活の手続きを進めている終活ガイドの視点からわかりやすくお伝えします。

自筆証書遺言書保管制度とは？

自筆で書いた遺言書を、法務局が預かってくれる制度です（2020年7月スタート）。
これまでの自筆遺言は、自宅で保管する人が多く、「見つからない」「破棄された」「書き換えられた」といったトラブルも少なくありませんでした。

この制度を利用すれば、

• 紛失や改ざんの心配がない
• 家族がスムーズに遺言を確認できる
• 裁判所での検認手続きが不要になる

という安心な仕組みで、大切な想いをきちんと未来へ残すことができます。

保管制度を利用するメリット

① 紛失や改ざんのリスクがなくなる

自宅で保管していると、誤って捨ててしまったり、誰かに書き換えられる心配もあります。
法務局に預けることで、厳重に管理され、本人以外は中身を確認できません。

② 検認の手続きが不要に

通常の自筆遺言は、相続開始後に家庭裁判所で「検認」という手続きが必要です。
保管制度を利用していれば、この手続きが不要。
相続が発生したあともスムーズに進めることができます。

③ 家族間のトラブルを防げる

法務局に保管されているという事実そのものが、「本人の意思で残したもの」という証明になります。
後から「本当に本人が書いたの？」と揉めるリスクを防げるのも安心です。

利用の手続きと流れ

① 保管場所を確認する

全国の法務局のうち、「遺言書保管所」に指定された場所で手続きできます。
（自分の住所地・本籍地・不動産所在地のいずれかを管轄する法務局）

② 予約をして来局

この制度の申請は事前予約制です。
本人が直接法務局へ出向いて申請します（代理人による提出はできません）。

③ 必要書類を提出

• 遺言書の保管申請書など
• 本人確認書類（マイナンバーカード・運転免許証など）
• 封をしていない自筆証書遺言
• 手数料：3,900円（1通あたり）

④ 保管証を受け取る

保管が完了すると「保管証」が発行されます。
後日、自分で内容を確認することも、相続開始後に家族が閲覧請求をすることもできます。

保管制度を利用する際の注意点

法務局では、遺言書の形式的な要件の確認はしますが、内容の有効性までは確認してくれません。
つまり、形式や書き方に不備があると、せっかく保管しても無効になる可能性があります。

内容に不安がある場合は、司法書士や行政書士などの専門家に確認してもらうのがおすすめです。
「せっかく書いたのに無効だった…」ということを防ぐためにも、事前準備は大切ですね。

まとめ ― 遺言書を安心して残すために

遺言は“書くこと”よりも、“正しく残すこと”が大切です。
法務局の保管制度を利用すれば、

• 紛失や改ざんの心配がなく
• 検認手続きが不要で
• 家族がスムーズに相続に進める

という安心感が得られます。

終活は「自分の想いをきちんと伝える準備」。
自筆証書遺言書保管制度を上手に活用して、残された家族が迷わないように整えておきましょう。